バンデンプラ・プリンセスに熱い思い入れ

バンデンプラ・プリンセスに熱い思い入れ

「バンデンプラ・プリンセスに熱い思い入れ」と言っても王女様への思い入れではありません。車の名前です。このバンデンプラ・プリンセス(国によってはバンデンプラスとも発音)。誕生は1964年でした。ベルギーのコーチビルダー(もともと馬車作りメーカー、高級車体メーカー。英国の高級車の車体も作っていました。)のバンデンプラがイギリスのオースティンに統合され、生産された小型車です。


(以下、写真協力 ガレージ日英)

開発姿勢は、こだわりの塊。小さくても本物に徹底。「ミニ・ロールスロイス」とも称され、内装のクオリティは圧巻です。まさに珠玉の逸品。おそらく1000CCクラスの小型車で、こういうクルマは、これから生まれないでしょう。
時代を超えた「マスターピース(傑作)」なのです。いわば小さな走るプライド。哲学の塊だとも思います。

惜しまれましたが製造は1974年に終了しました。しかしそのクオリティの輝きと存在感で、エンス―ジアスト(熱狂的なファン)に、今でも大切に乗られています。日本でも多くの著名な俳優さんやミュージシャンなどにも愛されています。エンジンからボディまで大事にレストアされているのを見かけます。

本物ウオルナットの極上のインパネ。自動車だけでなく運転する人の感性も豊かに溶け合い、満足感に一層の磨きをかけてくれます。機械以上の別の存在を語り掛け、感じさせてくれる美しさです。

また、ウインドウサッシ。サイドの仕上げ。英国コノリー社の革のシート。
後部座席のウッド・テーブル。どこをとっても本物でクラシック。小さなロールス・ロイスと言われるゆえんが分かります。

しかし、なんといっても誕生してから60年近く、放っておいて走るわけはありません。だから専門のノウハウをもった工場の人々に大事にレストアされて命を吹き返しています。
モノやコトの「テイスト=味」を大事にする生き方。スピード社会だからこそ、その「豊かな存在感」が際立ってくるのでしょうか。

今でも、日本でも、クラシック好きの方々に愛されています。「好きなんだなあ」と、街で見かけると微笑ましくなります。小型車のクラシック・マスターピースと言えるでしょう。

また、英国を再発見したくなりました。バンデンプラ・プリンセス。「ミニ・ロールスロイス」。いつまでも大切に残したい英国車の一台です。