クオリティ・オブ・ライフが新しい生活文化になる QUALITY OF LIFE

以前にも記しましたが、とても大事な概念なので再度記させていただきます。
人間と動物の大きな違いは文明をもち、明日の夢に向かって前進し続けることでしょう。「想像力と創造力」をもっていることが人間の特性の一つですね。先達の努力によって現代人は、かつてもちえなかった豊かさを享受しています。
しかし、環境の悪化、エネルギー多消費、社会ストレスの増大の中で、今、新たな視座の転換点を迎えています。
それが「クオリティ・オブ・ライフ」の再評価です。グッドライフを志向しながら永続性を保つ。自分の利益が他人の不利益にならない。新しい視座です。
人間の創造性と豊かな永続性をバランスする。こうした視点で「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」を再評価してみたいと思います。
ちかごろ欧米からの旅行者もとても増えています。日本の旅館に泊まり、畳の部屋で寝ます。初めての人はその感触に驚きます。歩くところに寝転んだり、食事の御膳が運ばれたり、夜は布団を敷き寝床になります。

コンパクトな和室。世界の旅人が「畳」の部屋に新鮮さを感じています。
旅人は、この異国文化をとても喜びます。いま、欧米でも日本を知る人たちは、
家に入ったら「靴を脱ぎたい」といいます。家の中で靴を脱ぐ快適さを知ったのです。いや、いつも靴を履いている臨戦態勢からの解放感を学んだのかも知れません。
QOLは、日常性に光をあてています。毎日使うケトル。しかしケトルをつかわないとき、それが暮らしのアクセントになるか。トースターもそうです。パンを焼く時だけつかう。後はただ存在するだけ。それはもったいない。つかっていないときも存在感がアートになる。「見せる生活具」これも新しいQOLだと思います。
By I, Holger.Ellgaard, CC BY-SA 3.0, Link
さて、森林は活きています。しかし木工はどうでしょう。木工は自然の命を人間の手で、加工し、永遠の物として留める事です。使いこなし、修理し、エイジングを楽しむ。いま、改めて木材や木工製品に注目です。
ハンス・J・ウェグナー - Nasjonalmuseet for kunst, arkitektur og design, CC 表示 4.0, リンクによる
日常生活の中で感じる、普段時間の美学。ハレだけでなく日常性を大事にする。さりげない事、自分時間をブラシアップする。いま大事な視点になっています。
あるいは、モノ・コトの精神性にも着眼する。人間中心のプロダクツの見直し。サスティナビリティ。かけた茶碗を愛おしむ金継の文化。世界中で新しい美学として見直されています。
Par Haragayato — Travail personnel, CC BY-SA 4.0, Lien
日常性の中に、アンティークなハレを持ち込む。これも無理のないQOLとして新しいムーブメントになっています。古いものを大事につかう。新しい質を探る生き方です。しっとりとしたサービス。古民家カフェ探訪なども人気がありますね。

ロンドン「蚤の市」で買った手ごろなアンティーク皿。
ネイチャー・ポジティブ。自然との共生。カーボン・ニュートラルへの対応。日常性への着眼とブラシアップ。参加性と心を豊かにする生活具。「QOLプロダクツ」は今後も多彩に生まれるでしょう。
こうした中で、街乗りにふさわしい二輪車もあります。ローマの休日で仮想の女王と街の中を走ったスクーター。高速道路より街を走る事が絵になる。街の空気を肌で感じる。QOLの新しい形だと思っています。

高速道路より街中が似合うスクーター
ところで、世界で1億台以上販売した究極の乗り物があります。やはり二輪車ですが、「ホンダ・スーパーカブ」です。アメリカでも乗り物の概念を変えてヒットしました。今、後継車として新しいモデルも生れています。
スピードではない。汎用性を楽しむ。乗り物の中でも新しいQOL概念が生れているのです。

写真は、千葉県のいすみ鉄道。『ないもないがあります』で有名になりました。
「スロー・メカニズム」もQOLの概念に一致するでしょう。スピードを競うものではなく、ゆったりとした時間を楽しむ。『なにもないがあります』の千葉県の、いすみ鉄道。ゆったりとした風景の中、お弁当を食べながら心を満たす。

注目される船旅。鍵はお気に入りの仲間と行く。距離感が大事なようです。
いま、人気を呼んでいる船旅。寄港プログラムも多彩で、シニアに人気があるようです。豊かに時間を消費する。これもQOLですね。
「SDGs」と「クオリティ・オブ・ライフ」。近年の重要課題になっています。
グッドライフを志向するPOLO BCSの商品開発活動も、この視点をもっと掘り下げたいと思っています。